今日の朝刊に「10年の壁」というタイトルで、
無期雇用契約の転換についての記事が載っていました。
私は、学生時代から通算すると大学に12年間所属し、教職員時代は教務の仕事をした期間もありましたので、この問題のことをずっと考えてきました。
経営者のみなさま、労務ご担当者の方は既に、
「有期労働契約の無期転換ルール」の制度整備や対応を取られ、現在にいたると思いますが、
大学機関においては、来年の3月に大きな動きが想定されます。
研究者の方や大学非常勤講師の方々については、
この5年ルールを別の法律で通算期間を「10年」とする「特例」があり、無期転換ルールが10年となっていました。
施行日以前から働いている方々は、2013年4月が期間の起算点となるため、
来年2023年3月末に、通算10年を迎える方が多いんです。
5年対応を迫られたときも、学内では大きな問題となり、
教務、総務、教授会、学院協議会、様々な会議で話し合いをおこなったことを覚えています。
国が定めるルールに合わせるためには、非常勤の先生方を雇止めにしなくてはいけないの?
そのような発想にいたる前に、学校の主役である「学生」のことを少し考えてみてほしいなと感じます。
「わたしたちの学校では、学生に何を身につけさせたいのか?」
ここを出発点として考えると、視点が少し変わるのではないかなと感じています。
提供するカリキュラム全てを常勤の先生で提供することは不可能です。
外部の専門家である非常勤の先生方のお力があって、大学の授業は成り立っています。
外部から来てくださる非常勤の先生方はありがたい存在。
非常勤の先生方への感謝を常勤教員、教務職員はいつも持っていました。
そもそも、無期転換ルールとは、
有期雇用の乱用を防ぐ目的で、
通算5年を超えて働く労働者に定年まで働く選択肢を渡すもの。働く側の意思で決めるものとなっています。
申し入れがあれば、雇用主は拒否はできませんが、
ここも、学生に継続的に渡したいリキュラム、学生育成の観点から考えると、
非常勤の先生を入れ替えていくことにどのくらいメリットがあるのか?
現在、私自身、県内の教育機関の教壇に立たせていただいていますが、
教務主任の先生をはじめ、教職員の方々に大切にしていただいています。
感じるのは、学生育成への想い。
学生を大切にされている学校さんは、外部講師に対しても愛と感謝を示してくださるなと感じます。
誰のために、何のために?
学校教育の場でもここを大切にしていくと、
教育機関における、雇用の問題も何か光が見えるように感じます。