海外在住の日本人の方を採用する際のQA 社会保険関係編

こんにちは!会社と働く人をつなぐ 専門家 社会保険労務士の田村由理です。

今年一番目の投稿は、労務管理にまつわるこんなときどうする?に回答します(^^)

Q.「海外在住の日本人の方に、フルリモートでお仕事をしてもらいたいと考えています。どんな点に注意が必要でしょうか?」

このような質問、最近、いただくことが多くなりました。

テレワークの浸透で働く場所に制限がなくなってきているんですね~。

私の身近なところでも、ご家族のお仕事の関係で海外に住んでいるママ達が、

オンラインでアクティブにお仕事をしています。

彼女たちの姿を見て、時代の変化をまざまざと感じます。

特にZoomは、まるでどこでもドア!Zoomをつないで仕事をしている方、ほんと多くなりました!

さて、

採用・雇用する企業の視点では何を見ていけばいいでしょうか?

これまでは、ある程度業務を切り出す「業務委託契約」が中心でした。

しかし、zoomやビジネスチャットを使った仕事であれば、指揮命令権のある「雇用契約」を結ぶこともできます。

対象としては、主に、ご家族の赴任に伴い海外で暮らしている方、そして結婚に伴いパートナーの国で暮らしている方としているケースが多いなという印象です。

いずれも「日本国籍」の方々。

このような海外在住の日本人の方を雇用する場合の、

「健康保険(健康・介護・年金)」、「雇用保険」、「労災保険」はどのような手続きが必要になるか?

雇用する側としては、ここ、悩みますよね!

考え方の基準を以下、紹介します。

【健康保険】
・日本在住の一般の方と同様の適用となる。
・資格取得のときの住所は「海外在住」で提出。
(住所欄「海外在住」を選択。)

【介護保険(40歳以上の場合)】
・介護保険は日本国内に住所があることが条件。よって、適用除外。
・「介護保険適用除外等該当・非該当届」の提出が必要。
→保険料控除も無し。

【厚生年金保険】
・健康保険同様、日本在住の一般の方と同様の適用となる。
(健康保険の加入要件を満たす場合、同時に資格取得。健康保険と厚生年金どちらも加入となる。)
※現地の公的年金の加入義務がある場合は、二重加入となるため、日本との間に社会保険協定がある国であれば、現地の公的年金加入が免除となる場合がある。
→「社会保険協定」が適用となるのは、日本から派遣される方のみ。初めから海外に住んでいる人は対象外となる点注意。
参照:日本年金機構HP「海外への転出 海外からの転入」

【雇用保険】
・もともと海外に住んでいる方は、雇用保険の被保険者とならないため、手続きは不要。
参照:厚生労働省HP 雇用保険に関する業務取扱要領(令和5年10月1日以降)
二 国外で就労する者
b その者が日本国の領域外にある適用事業主の支店、出張場等に転勤した場合には、被保険者となる。
現地で採用される者の国籍のいかんにかかわらず被保険者とならない。
※所属する日本国内の事業所に1日も出社せず出社実働がなくフルリモート、
今後日本に戻る予定がないこと、二点をもって現地(海外)採用とみなす。

【労災保険】
労災保険適用となるかは、事業所管轄の監督署に要確認となります!
事業所所在地の監督署によって判断が異なるようです・・・
2024.1.19現在、下記のような回答、それぞれを得ています。
①労災保険の特別加入制度を参照した回答。
現在のルールでの想定は、海外派遣。日本から海外へ派遣される方のための制度はあるが、
派遣という形態ではなく、海外在住の方を直接雇用する場合は「労災 特別加入」の対象外となる。
(通常、労災は日本国内で働くケース対象となるため。)
参照:厚生労働省HP『特別加入のしおり(海外派遣者用)』

②一方、このような見解回答も・・・
フルリモート勤務の海外在住日本人は、「労災保険対象」となる。
理由は、事業所が日本にあり、日本国内の事業所から指揮命令が行われるている。
この2点に該当するならば、労災保険対象者となる。

※労災に関しては、管轄の監督署に必ず確認を取り、
各署の見解の確認を取ることをおすすめします。

以上、社会保険関係編として、まとめてみました。

ご相談を受けたケースもオンラインがつながっている環境であればどこでも働ける働き方を進めていらっしゃるということで、

働く場所を日本に留めなくてもよい。
海外に住んでいて働きたい!と思っている子育て中の女性を中心に今後は採用展開していくというお話しでした。

これまでは、海外進出というとハードルが高いものでしたが、

このようなつながり方があるんですね(^^)

私自身、新しい働き方の世界を見せていただきワクワクしています!

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